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前夜の松本入りは夜中を過ぎていた。
朝6時に起きたワタシは、電車とタクシーを乗り継ぎ上高地へと向かう。
好きなバンドの来日公演と重なってしまったが別に後悔はしていない。

新島々から釜トンネルまでタクシー代が1万円近くかかったが、
その先の風景を想えば実に安上がりに感じる。
(カネをかけた割に成果がでない時よりは遙かにマシ)
  
  
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釜トンネルを徒歩で抜けるとそこは別世界。
天気は無風快晴。ずっとこの条件を待っていた。
後で聞いたら、気温はマイナス15度くらいだったそうだ。
もちろん初めての経験。

これまで3年かけて揃えた防寒具のおかげで、全く寒さは感じない。
髭や睫毛が氷るのをみて、初めて寒いことに気づく。
足下はしっかりとしており、持ってきたスノーシューも不要だ。

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しばらく歩くと上高地の定番、大正池に着く。
池越しには雪を湛えた穂高連峰が。

左側のピーク、西穂高岳には思い入れがある。
4年前の夏、あの稜線上にある西穂山荘で泊まり込みのアルバイトをした。
ワタシの写真生活の原点のひとつでもある。
  
  
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池は8割方氷結しており、氷った水面には不思議な物体が。
フロストフラワー(霜の花)と言うらしい。何ともかわいらしい姿をしている。

もっと近づいて撮りたかったが、氷が薄く、割れてしまう。
仕方なしに、周りの風景と絡める。なかなか雰囲気のある写真が撮れた。
  
  
今回の目的は、なんと言っても朝日に輝く霧氷。
陽が入ってくる前に、目的地・田代池へと急ぐ。

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陽が入る前の田代池。モノトーンの世界。
霧氷の着き具合は理想通り。時刻は午前9時半。
陽が当たるのはもっと後か。構図をイメージしながら、その時を待つ。

  
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10時。陽が入り始める。
辺りが急激に色づいていく。
夢中でシャッターを切るが、この時に露出補正を
プラス1.3にしていたため、
(画面に太陽を入れたときにプラス補正にしていた)
20枚以上の写真を無駄にしてしまう。

露出ミスに気づき、プラス0.3に変更。
気づいて良かった。

時間との勝負。
霧氷は陽が昇ると解けてなくなってしまう。

  
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水面からは水煙が立ちこめ、それが木について霧氷となる。
霧氷は朝日を浴びて輝き、まるで宝石のよう。

辺りは本当に寒いのだろう。空気中の水分が氷ってダイヤモンドダストに。
この世のものとは思えないほど幻想的。

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後ろの木に陽が入るまでわずか15分。
たった15分とは今でも思えないほど濃密なひととき。
撮影枚数も、その間だけで100枚を数えた。

この筆舌に尽くしがたい光景を、どこまで写真に収めることができたのか
それは家に帰ってみないとわからないけれど、この充実した時間に満足したワタシは
帰途に就くことに決めた。

そして、この日をさらに充実したものにすべく、
やっぱりDRAEM THEATERの来日公演を観に行くことにした。