数年前、某写真雑誌の紙面を飾った二枚の写真。
ひとつは田代池の霧氷。もうひとつも霧氷の写真で、
撮影場所は上高地大正池と書いてあった。
田代池の霧氷は、去年運良く撮影できたけど、
もう一枚の方がどうしても場所が特定できずにいた。
間違いなく西側から撮ったのだろうけど。
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坂巻温泉を7時半に出て中の湯ゲートまで送ってもらう。
上空は晴天。霧氷の期待はさらに高まる。
釜トンネルを抜け、いくつかカーブを過ぎると
穂高連峰が壁のように現れる。何回来ても この瞬間は感動的だ。
(下にある道路標識と大きさを比べてほしい)
ただ、どこを見ても霧氷が全くついていない。
信じられない気持ちを抑えつつ、前日決めたポイントへ向かう。
近づくにつれて、木々が何となく白みを帯びてくる。
そしてそれは次第にはっきりとした形になる。
わずかながら霧氷がついている。
期待のあまり、奥へ進む足が速まる。
目的地に着くと、霧氷は最高潮を迎えていた。
9時すぎに日が入ってくると、それらが白く輝きだす。
それまで穏やかだった周囲も、日の光とともに動き始める。
川からは靄が上がり、風が吹き、氷片が舞う。
風の舞う音、川のせせらぎ、鳥の声だけが静かに響く。
ここにいる人間はワタシひとり。
ずっと来たかった場所を見つけて、
予想通り霧氷が出て。
日が入り始めてから霧氷が散るまでほんの数分。
限られた時間はあっという間に過ぎてしまう。
もっと良いものが撮れるかも知れない。
来シーズンも、毎日天気図とにらめっこすることになりそうです。
まあ、地形図とにらめっこしなくて良くなっただけマシか。
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